■■■ May 2022 第227号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,005】■■■■■■
__今月号の目次 Contents_______________
□ フィールド便り.................. ダンサーたちの身体が持つ言語
□ メルマガ写真館.................. 日本の山奥にある多国籍村
□ お知らせ................... 東南アジア専攻 2022年度 オープンキャンパスの開催
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「ダンサーたちの身体が持つ言語」
松倉祐希(東南アジア地域研究専攻)
日本人にとって、とても身近な観光地である台湾。一度は訪れたことのある人も多いのではないでしょうか。そんな台湾のダンスシーンは、世界的にも有名な雲門舞集(Cloud Gate Dance Theater)の活躍にも代表されるように、とても活発です。幼い頃からバレエやモダンダンスなどに親しんできた私は、台湾のダンスシーンに興味を持ち、2019年の夏に台北に渡航しました。
台湾に渡った当時、私の華語の運用能力は、日常会話ですらおぼつかないものでした。それでもとにかく身体を動かしたかったので、語学学校で言葉を勉強し始める前に、まずはダンススタジオに飛び込んで、モダンダンスのレッスンを受けに行きました。当然ながら言葉は全く聞き取れません。しかしダンスの先生が身体を使って動き方を説明し始めると、何を言っているのか、一瞬のうちに伝わりました。先生の身体は雄弁で、まさに身体の言語を目の当たりにした瞬間でした。ろくに華語を話せませんでしたが、とにかく現地のダンサーたちを見て、真似て、一緒に踊る時間を共有することで、彼らと交流を深めていくことができました。
さて、台北での滞在も長くなり、華語も段々と話せるようになってきた時のことです。私は現地のダンサーたちと一緒に振り付けを創っていました。しかし「その場で1回転する」ある動きのときに、他のダンサーたちは何気なく回っていましたが、私だけが足の運び方がわかりません。戸惑っていると、「武功」のテクニックでは回転の時に必ずこういう風に足を運ぶんだよ、とダンサーたちが動いてみせてくれたのです。
「武功」というのは、中国古典舞踊の中で用いられる、武術の動きを取り入れたパフォーマンスの一種です。台湾では舞踊教育の中に「武功」のような武術が深く入り込んでおり、台湾で踊りを学んできたダンサーたちには、武術の身体言語がありました。バレエやモダンダンスなどの西洋由来のダンスだけを学んできた私にはとても大きな発見で、それから中国古典舞踊のクラスにも熱心に通うようになりました。
台湾では、中国大陸から国民党が台湾に敗走してきた戦後に、大陸の伝統文化の復興が叫ばれ、中国古典舞踊が活発になりました。そこで流入してきた大陸の舞踊や武術は、現在も台湾国内で独自の発展を続けています。ダンサーたちの身体が持つ言語から、台湾の歴史をすかしてみることができました。
写真1: 中国古典舞踊のレッスンの様子。1番左にいるのが私です。
写真2: 台北市にある国立劇場。国内外のダンスカンパニーが連日公演を行なっていました。
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0VZfwT49osuJaaqdgzyMZCup3sWBKYiQgTKV8RyMryyrYpdjTatbFwmtTHQgkbvVl
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「日本の山奥にある多国籍村」
許 大星(東南アジア地域研究専攻)
その村は千曲川の源流をもつ奥秩父山塊の高冷地にあります。村には見渡す限り山と畑が広がり、高原野菜の栽培がさかんで、特にレタスに関しては日本有数の産出量をあげています。この人口4000人程のこの村には住宅と農協、そして商業施設が二、三あるだけで、日用品や食料品などを購入できるスーパーは一つしかありません。そのため、農作業を終えた夕方以降、このスーパーには多くの人が集まります。
ある日の店内では、四人組のベトナム人が和気藹々と買い物を楽しんでいました。一角には、ベトナム料理に使われる調味料や食品を集めた売り場もあり、商品説明もベトナム語です。人気コーナーのようで、夕方時点で多くの商品が売り切れていました。四人で一緒に会計を済ませ、買い物袋片手に自転車で楽し気に語らいながら風を切る彼ら。買い物を終えて村営バスを待つカンボジア人の二人組。自家用車に乗り込む日本人の主婦。
ここは川上村、長野の山奥にある多国籍の村です。この小さな空間の中で人々が多様なルーツの生活を営む様から、文化のグラデーションを垣間見たように感じました。
写真1:多くの商品が売り切れているベトナム食品コーナー
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
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(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/
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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2022年度 オープンキャンパスの開催
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〇 東南アジア地域研究専攻 オープンキャンパス2022
日時:6月11日(土)13:00-17:00
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/global20220521/
*オンライン会議システムZoomでの開催となります。
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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稲盛財団記念館の前を流れる鴨川が、新緑で彩られる季節がめぐってきました。そんな勢いづく新葉のように、学生の皆さんの海外渡航がいよいよ現実味を帯び、すでに現地に向けて出発した学生さんもいます。長く待ったこの機会がついに訪れることに胸が膨らみつつ、初めての海外での調査に不安を覚えている学生さんもいることと思います。今はそんな様々な気持ちを抱えながらもそれを乗り越え、たくましく成長した皆さんが、それぞれに実りある秋を迎えることを願っています。そして皆さんの「実り」を、このメルマガや研究発表会で聞かせていただくことを楽しみに待っています。
(M.S.)
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協力:
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