■■■ November 2020 第209号 ■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 905】■■■■■
__今月号の目次 Contents_____________
□フィールド便り............... 急がば登れ
□メルマガ写真館............... 川沿いの夜の公園で
□お知らせ.......................... オープンキャンパス、入試日程
□講演会・セミナー情報..... アフリカ地域研究会など
□最近の出来事................... Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「急がば登れ」
古橋 牧子(東南アジア地域研究専攻)
2019年2月、旧正月を迎えたベトナムで、私は「インドシナの屋根」ともいわれるファンシーパン山を登り、ドクダミを探しました。この山はベトナム北部のラオカイ省とライチャウ省の境にあり、標高3,143mでインドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)の最高峰といわれています。
日本では、家の庭先や路肩など人が生活している環境でドクダミを見かけることが多いと思います。ドクダミの原産地は特定されておらず、もし、人が居住していない山でドクダミの生育を確認できたら、原産地の特定に一歩近づくかもしれないという思いで登山に挑戦しました。
ファンシーパン山の登山は、日帰りも可能ということでしたが、余裕をもって一泊コースで臨むことにしました。いざ登ってみると、とても日帰りでは帰って来られない険しい道のりでした。なんとか暗くなる前に宿泊する小屋に着き、暗がりの中いただいた温かいご飯はとても美味しかったです。
食事中、ファンシーパン山周辺で生まれ育ったツアーガイドから、昔はここにトラなどの野生動物がいたという話を聞かされました。今はいないことを確認し、ほっとして、早朝の再出発に向けて早々に就寝モードに入りました。夜は一層寒く、強風の音が響いていました。使い古された薄い寝袋一枚と持参した防寒グッズを駆使して、凍えながらも眠るように努めました。
ところが、眠りにつく前にドーンという大きな音。あたりは真っ暗で一体何が起きているかわかりません。まさか、トラが突進してきたのかと思わずにはいられないほどの大きな衝撃でした。息をひそめて状況を把握しようとしましたが、30秒に1回ほどのペースで鳴り続ける音の正体はとうとうわかりませんでした。寒さと暗闇の中、小屋の外に出て確認する気力もありませんでした。
ほとんど一睡もできないまま、夜が明ける前に出発。山頂に近づくにつれて道は険しくなり、強風に押され一歩足を踏み外したら転落してしまうのではないかと思うほどでした。なんとか無事に登頂し、日の出をみることができました。結局、肝心なドクダミは見つけられませんでしたが、きれいな景色に魅了され、下山しました。
しかし下山後、ガイドを務めてくれた黒モン(ベトナムに暮らす一民族)女性の家屋周辺の水田の畔に自生しているドクダミを見せてもらえることになりました。そこで見たドクダミは、葉の裏が赤く厚みがあり、日本で自生しているものと同様の形態であるという印象をもちました。黒モン女性はこのドクダミの葉を採集し、犬肉や魚を食べるときに添えて生食するといいます。これまでベトナム北部紅河デルタや南部メコンデルタで実施した調査では、ドクダミが栽培され利用されていたため、自生するドクダミの採集利用がベトナムで確認されたことは私の研究にとって新しい発見でした。謎の音と凍える寒さに疲弊したファンシーパン山への登山が、黒モン女性との出会いのきっかけとなり、大きな収穫につながったのです。
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/3612093352170324
写真1:ファンシーパン山の山頂
写真2:登山中に見えた景色
写真3:黒モン女性宅周辺の水田
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「川沿いの夜の公園で」
皆木 香渚子(東南アジア地域研究専攻)
ベトナムでの生活に少し慣れてきた頃のある夜、現地の友人に連れられて川沿いの公園を訪れました。原色のネオンカラーに・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください。)
第174回 「メルマガ写真館」
(上記の写真館については次のFacebookでもご覧いただけます。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/3612102485502744
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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2020年度 オープンキャンパスの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 東南アジア地域研究専攻 第2回オープンキャンパス2020
日時:2020年11月11日(水)13:00-17:00
オンライン会議システムZoomでの開催となります。
参加申込URL: https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/asia20201111/
◆ アフリカ地域研究専攻 第3回オープンキャンパス2020
日時:2020年11月21日(土)14:00-16:30
オンライン会議システムZoomでの開催となります。
参加申込URL: https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20201121/
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□ 2021年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
*新型コロナウイルス感染症予防対策としてオンライン等による入試を
実施する予定です。
◆ 第2回入学試験(東南アジア地域研究・アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:2021年1月8日(金)~1月19日(火)17時必着
試験日程:2021年2月3日(水)、4日(木)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application/
◆ 博士課程[5年一貫制]第3年次編入学試験
出願期間:2020年12月16日(水)~2020年12月23日(水)17時必着
試験日程:2021年1月13日(水)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/transfer/
*大学院入学試験の受験を検討されている皆様へ
本研究科東南アジア地域研究専攻およびアフリカ地域研究専攻の博士課程[5年一貫制]第2回入学試験、ならびに研究科博士課程[5年一貫制]第3年次編入学試験は、例年とは異なり、新型コロナウイルス感染症予防対策としてオンライン等による入試を実施する予定です。
詳細については、後日、本研究科のウェブサイトでお知らせいたします。大学院入学試験は、募集要項のとおり実施される予定です。
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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター主催
2020年度 アフリカ公開講座「アフリカの森を共創する」
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京都大学アフリカ地域研究資料センターは、2018年4月から2023年7月までの5年間あまり、JST-JICAによる地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)プログラムの枠組みのもとで、カメルーン東部州の森林地域にて「在来知と生態学的手法の統合による革新的な森林資源マネジメントの共創」プロジェクト(https://sites.google.com/view/projet-comeca/)を実施しています。
2020年度公開講座では、このプロジェクトにかかわる研究を紹介します。
*Zoomによるオンライン会議形式での開催を予定しています。
◆ 第1回 2020年10月24日(土)15:00-17:00(*終了しました。)
「アフリカの森の暮らしをおびやかす諸問題」
安岡 宏和(京都大学アフリカ地域研究資料センター・准教授)
◆ 第2回 2020年11月7日(土)15:00-17:00(*終了しました。)
「野生動物は何頭いるのか?」
本郷 峻(京都大学アフリカ地域研究資料センター・特定研究員)
◆ 第3回 2020年11月21日(土)15:00-17:00(*終了しました。)
「野生果実はどのような役割を担いうるか?」
平井 將公(京都大学アフリカ地域研究資料センター・特定研究員)
◆ 第4回 2020年12月5日(土)15:00-17:00
「森林産品は誰がどこへ運んでいるのか?」
戸田 美佳子(上智大学総合グローバル学部・助教)
◆ 第5回 2020年12月19日(土)15:00-17:00
「生物多様性はどのように保全されるのか?」
四方 篝(京都大学アフリカ地域研究資料センター・特定研究員)
*申し込み
以下の専用フォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。
https://forms.gle/NraVRVNyJge9dcWw6
・締め切りは、各回の開催前日の17時です。
・申込者には、各回の開催前日の20時頃にZoomの招待URLをお伝えします。
・インターネットに接続されたスマートフォン、タブレット、パソコンがあれば、簡単にご視聴いただけます。
*詳細
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/9138
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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■ 編集子より From the Editor
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今回のフィールド便りとメルマガ写真館の記事は、いずれもベトナムで調査をしている院生さんによるものです。東南アジアのなかでもベトナムは、コロナ感染者数がきわめて少なく安定している数少ない国のひとつです。菅首相の最初の外遊先にベトナムが選ばれ、まずはビジネス関係者を中心に、人の往来を開始することが首脳同士で話し合われました。しかし、現地調査をしている私たちにとっては、事はそれほど単純ではありません。調査許可のビザを得てベトナムに入国し、隔離期間を経て町に滞在することができるようになったとしても、村まで訪問する気にはまだなれません。感染していないという医学的な根拠が示されたとしても、外国からの訪問者と村人の双方の気持ちが合致するまではしばらくタイムラグが生じると思われます。では、いつまで待てばよいのでしょうか。こんな時こそ、普段からの村の人とのつきあいの仕方が問われていると思います。これから現地調査に入ろうしている院生さんにとっては、相手の立場になって考える良い機会だと思います。厄除祈願をしつつ、できるだけの準備を始めています。(M.Y.)
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◆ このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント室、ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
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協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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