1. HOME
  2. ブログ
  3. 地域研究情報マガジン
  4. アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第204号

Articles

メルマガ記事

地域研究情報マガジン

アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第204号

■■ June 2020 第204号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 874】■■

__今月号の目次 Contents_______
□ フィールド便り………….断食明けの喜びを分かち合う:
            村で迎えるイード・アル=フィトル
□メルマガ写真館………….おもてなしの家庭料理    
□お知らせ..........................入試日程、履修プログラム
□講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
□最近の出来事........ Facebook・Twitter情報
□編集子より
____________________

============================
■ フィールド便り Letter from the Field
============================

「断食明けの喜びを分かち合う:村で迎えるイード・アル=フィトル」
賀川 恵理香(グローバル地域研究専攻)

5月24日より3日間、パキスタンでイード・アル=フィトルが祝われました。イード・アル=フィトルとは、ムスリムが断食を行うラマダーン(断食月)後に行われる宗教祭です。パキスタンでは、今回の断食明けのイード・アル=フィトルを「小さいイード」や「甘いイード」と呼ぶのに対して、その約2か月後に行われる犠牲祭、イード・アル=アドハーのことは「大きいイード(4日間行われるため)」や「塩辛いイード(羊や牛の屠殺を行い、その肉を食すため)」と呼びます。

イード前日の夜23時頃、調査村のモスクには村の男性たちが集っていました。村のイマーム(宗教指導者)を中心に40人程の男性たちが円になって、皆で一緒にお祈りをします。その後、ラマダーン期間中にモスクのスピーカーを通して断食の時刻を知らせる役を務めた村の若者2人に、薔薇の花やナツメヤシで作った首飾り、そして甘いお菓子が贈られました。彼らは村の男性たちの隊列に囲まれながら、自宅まで送られて行きました。

イード当日、朝から女性達は大忙しです。家の掃除をして、食事の支度をして、サヴェイヤーンというスイーツを作ります。サヴェイヤーンとはスパゲッティよりも細い麺のことで、牛乳と一緒に甘く煮て調理するか、または茹でた麺の上にきび砂糖とヨーグルトをかけて食べます。イード・アル=フィトルではサヴェイヤーンやキール(ライスプディング)が食されるため、「甘いイード」と呼ばれるのです。私の調査村では、ヨーグルトをかけて食べる方法が主流のようですが、個人的には牛乳と一緒に煮たものの方が好きです。

家での仕事が終わったら、村のなかで金銭的に困っている人々にフィトラーナー(施し)を届けに行きます。基本的には事前に申し出があった家庭に届けるそうです。それから、女性達はこの日のために仕立てた新しい服に着替えて、イードの礼拝に出かけます。男性たちはモスクに集まりますが、女性たちは近所の女性同士で集まって個人の家で集団礼拝を行います。女性たちは会うなり、「イード・ムバーラク(イードおめでとう)」と言ってイードを迎えた喜びを分かち合うと同時に、お互いの服を褒めあっていました。その後、村の子供たちにイーディー(イードの際に渡す少額のお小遣い、お年玉のようなイメージ)を渡しに行きます。私も日ごろからお世話になっている村の家々を回って、子供たちに100ルピーずつ(日本円で70円程度)、イーディーを配ってきました。

毎年のイードの際には、各地から親戚が集まってきて、とても賑やかに祝われるのですが、今年は新型コロナウイルスの感染が拡大するなかで、控えめな形でのお祝いとなりました。私の調査村では、大都市に比べて規制が緩いものの、例年に比べて人の往来はかなり少なかったといいます。村のなかでも新型コロナウイルスを恐れる声がたくさん聞かれ、ラマダーンの間は毎日のようにモスクのスピーカーから、「掃除をしろ」「手洗いをしろ」「アッラーに許しを請え」という説教が流れていました。これからも、社会状況に応じて変化していくフィールドの姿を注視していきたいです。


写真:1. イード前日夜、モスクに集まる男性たち:写真中央の若者2人に人々が首飾りをかけています。左側の若者が握手をしているのが、この村のイマームです。


2. シャッカルパーレー:モスクにて配られた甘いお菓子。ドーナツのような味ですが、少々硬く、とっても甘いです。


3. サヴェイヤーン:写真右上のパスタのようなものがサヴェイヤーン、左側にあるのが自家製のヨーグルト、中央のお椀に乗っているのがきび砂糖。


4. イード当日夜、親戚同士で集まる男性たち:毎年40人程度集まりますが、今年は10人程度です。

※写真はすべて筆者撮影、①と④の人物写真については、掲載許可を口頭にていただいています。

(上記のフィールド便りについては次のFacebookでもご覧いただけます)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/3132880106758320

============================
■ メルマガ写真館   Photo Gallery
============================

「おもてなしの家庭料理」
井上 登紀子 (グローバル地域研究専攻)

一家の主あるいは奥さんがよそってくれる大盛りのビリヤーニに、ゲストのために小皿に取り分けられたチキン、ビーフ、卵のカレー、パリッとした食感がアクセントになるパパダン(豆の揚げせんべい)・・・

(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第169回 「メルマガ写真館」
(上記の写真館については次のFacebookでもご覧いただけます) https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/3138427122870285 ========================================================= ■ お知らせ Announcements ========================================================= ───────────────────────────────── □ 専攻別 2020年度オープンキャンパスの開催 ───────────────────────────────―― *詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。 ◆ 東南アジア地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2020 日時:2020年6月20日(土)13:00-17:00(開場12:50) 場所:インターネット会議システム(Zoom)にて開催します。 https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/asia20200620/ ◆ グローバル地域研究専攻 第2回オープンキャンパス2020 日時:2020年6月27日(土)13:30-18:00ごろ 場所:インターネット会議システム(Zoom)にて開催します。 https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/global20200627/ ───────────────────────────────―― □ 2021年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程 ───────────────────────────────―― *募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。 ◆ 第1回入学試験 出願期間:2020年8月17日(月)~8月26日(水)17時必着 試験日程:2020年9月9日(水)、10日(木) https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application/ ◆ 学内特別選抜試験 第2次試験 出願期間:2020年8月17日(月)~8月26日(水)17時(必着)※郵送のみ 第2次試験 試験日程:2020年9月10日(木) https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/gakunai   ========================================================= ■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars =========================================================  ──────────────────── □ 第250回 アフリカ地域研究会 ──────────────────── 日時:2020年7月16日(木)15:00-17:00 場所:オンライン開催 演者:阿毛 香絵(京都精華大学創造戦略機構 特別任用講師) 演題:セネガルにおける高等教育の現場とイスラーム─イスラーム知識人から学生信者まで *インターネット会議システム(Zoom)にてオンライン開催となりました。 https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/8297 ----------------------------------------------- ============================ ■ 最近の出来事 Recent Topics ============================ ──────────────────── □ Facebook・Twitter情報 ──────────────────── FacebookとTwitterから最新情報を発信しています。是非ご登録ください! ○ 京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS) https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/ https://twitter.com/asafasprcc ○ 東南アジア地域研究専攻Facebook https://www.facebook.com/AsafasAsia/ ○ 東南アジア地域研究専攻生態環境論講座Facebook https://www.facebook.com/asaseaeco/ ○ アフリカ地域研究専攻 Facebook https://www.facebook.com/ASAFASAfrica ○ グローバル地域研究専攻Facebook https://www.facebook.com/京大アジアアフリカ地域研究研究科グローバル地域研究専攻-545053518980616/ ○ 京都大学アフリカ地域研究資料センター https://www.facebook.com/CAASKyotoUniv/ http://twitter.com/Africa_Kyoto_U http://twilog.org/Africa_Kyoto_U ============================ ■ 編集子より From the Editor ============================ 日に日に暑くなる中、コロナ禍の影響で毎日マスクを着ける日が続いています。今まで以上に熱中症対策をしっかりしなくてはいけませんが、これが湾岸諸国など日中が40度以上にもなる地域にあってはどうなることやらと想像を巡らします。車移動が主体で、日中も基本的には屋内で過ごすことが多いことから、外に出ることは稀とはいえ、マスク着用義務が課されたりすれば結構大変なのではないか・・・それでも沙漠地帯にあっては防砂のために布で(頭に巻く布を使用)口元を覆うことも多いため意外と日常的な装いに通じる行為なのでは?状況が落ち着いたらコロナ禍をどのように乗り切ったのか、フィールドにて日常の些細なことや工夫など色々と聞いてみたいものです。フィールドへ赴くのはもう少し先になりそうですが、京都大学ASAFASでは、教員・職員・院生の在宅勤務・在宅学習も進み、今やれることに取り組み続けています。今月の東南アジア専攻とグローバル専攻のオープンキャンパスもZoomを使用したオンライン上で行いますので、全国から参加可能です。奮ってご応募下さい。大変な時期であることは変わりませんが、工夫をもって毎日楽しみながらコロナ禍を乗り切る、そんな心意気でいたいものです。(M.S.) ============================ □ メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。 http://form.mag2.com/gianoubima ============================ ◆ このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント室、ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。 ◆ ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。 宛先:http://form.mag2.com/gianoubima ◆ バックナンバーは、こちらのページから読むことができます。 https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/melmaga/ ◆ このメールは「まぐまぐ」のシステムを利用して配信しています。新規登録・解約は下記ページにてお願いします。 https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/magazine/ ============================

関連記事