■■ March 2020 第201号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 841】■■
__今月号の目次 Contents_______
□フィールド便り....移動する人々と食文化:ヨーロッパを魅了する中東料理
□メルマガ写真館.... ナツメヤシの味
□お知らせ..........................入試日程、履修プログラム
□最近の出来事........ Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「移動する人々と食文化:ヨーロッパを魅了する中東料理」
望月 葵(グローバル地域研究専攻)
昨秋、私はシリア難民に関する調査を行うためにヨーロッパ5ヵ国(スウェーデン、ドイツ、オランダ、フランス、イギリス)を訪問しました。調査期間中はヨーロッパの壮麗な街並みや有名観光地の数々を尻目に、観光地の裏に存在している移民・難民が多く居住する地区を私はひたすら練り歩いていました。
ほぼ陸続きのヨーロッパ諸国とは言え、国ごとに移民街の様相はかなり異なっています。それが顕著にあらわれるのが、レストランやスーパーマーケットといった「食」に関わる場所です。例えば、ストックホルム市内のとあるスーパーマーケットでは、シリアで食されるフブズ(アラビア語でパンのこと)によく似た形状のものが売られていたのに対し、同じ市内の別の市場ではイラクのフブズが並べられており、その地域にどのようなルーツを持つ住民が暮らしているのかが想像できます。各地のモスクに併設されたレストランで食事をすると、ベルリンやアムステルダムではケバブなどのトルコ料理がメインだったのに対し、ロンドンではカレーが提供されていてその地域に南アジア系のムスリムが多いことがわかります。トルコのドネル・ケバブはヨーロッパでも人気のファースト・フードとしての地位を確立しており、特にトルコ系移民の多いベルリンではソーセージの屋台と同じくらいの頻度でケバブ屋を見かけるため、もはやドイツの食文化の一部となっていると言っても過言ではありません。
移民・難民の人々がもたらした食文化はすでにヨーロッパの各地に根付いているだけでなく、現地で新たな文化も次々と生まれています。オランダでは面白いことに、2000年代半ばにケバブの肉と野菜の上にオランダ人がこよなく愛するチーズとフリッツ(フライドポテト)がのったカプサロン(kapsalon, オランダ語で「床屋」の意)と呼ばれる新しいローカルフードがロッテルダムで誕生し、その後他の都市にも広まってオランダ名物となっています。さらにフランスでは、2000年代初め頃にフランス南東部の都市リヨンのケバブ屋で発明されたと言われているフレンチ・タコス(le tacos français)が人気を博しています。私が訪れた店では、メキシカン・タコスのトルティーヤの生地でひき肉やチーズ、野菜を包んで焼き目を付けたものをモロッコの伝統菓子と共に提供していました。肝心の味はというと、タコスよりもドネル・ケバブに近いスパイシーな味をしています。フレンチ・タコスはフランス国内だけでなくモロッコにも新しいファースト・フードとして輸入され、大きな支持を得ているようです。
ヨーロッパでの調査中、私はケバブだけではなく中東地域の料理やお菓子、お茶を楽しみながら、現地の移民や難民の人たちの暮らしについて思いを馳せていました。有名な観光地のすぐ傍にも移民・難民の人々の暮らしの場は広がっており、そのような地域は文化と文化が交錯する非常にディープで熱気と活気のある場所となっています。このように、地域研究を学ぶ者にとってヨーロッパ地域も非常に魅力的なフィールドなのです。
(上記のフィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2949233125123020
写真の説明
写真1 アムステルダムで食べたカプサロン
写真2 パリのフレンチ・タコス
写真3 街中に溶け込むアラブ系食料品店(ベルリン)
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「ナツメヤシの味」
棚橋 由賀里(グローバル地域研究専攻)
中東のお土産としてポピュラーな乾燥ナツメヤシ(デーツ)。モロッコの古都マラケシュでは、ナツメヤシの木が道路沿いに植えられ、鮮やかな黄色の実をたわわに実らせています。マラケシュには、古文書の調査をするために来ていました・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第166回 「メルマガ写真館」
(上記の写真館については次のFacebookでもご覧いただけます)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2949227858456880
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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2020年度オープンキャンパスの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ アフリカ地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2020
日時:2019年3月28日(土)14:00-15:00
インターネット会議システムにて開催します。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20200328/
*新型コロナウィルスに関わる現状・影響などふまえまして、3/28(土)アフリカ地域研究専攻オープンキャンパスを14:00から15:00まで、インターネット会議システム(zoom)にて開催します。この会議では、①大学院の説明と②グループ面談(関心にあわせて個別面談する教員を紹介するための面談)をさせていただきます。
◆ グローバル地域研究専攻 第1回オープンキャンパス2020
日時:2020年4月25日(土)13:30-18:00ごろ(受付開始13:00)
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内総合研究2号館4階AA447
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/global20200425/
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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コロナウイルスが猛威を振るう今、今後フィールドワークに出かけられるのか、教員も学生もみな不安になっていると思います。世界的な広がりを見せる未知なるウイルスの猛威は、留まるどころか収束の見えない状態が続いています。身近な人の顔はもちろんのこと、フィールドで出会った色々な人の顔が浮かびは消え、無事でいてほしいと願うことしか出来ません。手洗いをしっかりとして予防を心がけるなど、出来る限りのことをして様子をみるしかないのでしょう。もうすぐ新学期が始まりますが、万全には万全を期して望みたいと思います。(M.S.)
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