■■ December 2019 第198号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 1256】■■
__今月号の目次 Contents_______
□フィールド便り.... ムンバイのスラムで考えたこと
□メルマガ写真館....イランにて、カフェのある日常を!
□お知らせ..........................入試日程、履修プログラム
□講演会・セミナー情報....アフリカ地域研究会など
□最近の出来事........ Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「ムンバイのスラムで考えたこと」
鶴田 星子(グローバル地域研究専攻)
2019年4月、インド・ムンバイなどでの約2か月のフィールド調査も終盤を迎えた頃、私にとって忘れられないある家族との出会いがありました。
その家族と出会ったのは、ムンバイ大学の寮で、調査最後の週を一緒に過ごしたルームメイトがきっかけでした。先生からの依頼で急遽私を部屋に住まわせることになった彼女は、嫌な顔一つせず常に私を気遣い、明るく快活にふるまってくれていましたが、ある日彼女自身の過酷な生い立ちを語ってくれたことがありました。
彼女はムンバイより南の村からでてきたこと、父親は酒浸りで家は貧しく、貧困から抜け出したくて自力で稼ぎながら修士課程まで勉強を続けてきたこと、4つ上の姉は先にムンバイにでてきたが、院生の彼女とは違い、家政婦の仕事をしていること、そして結婚してすぐ近くのスラムに暮らしていること――。
彼女はお姉さんの家に連れて行ってくれると言ってくれたのですが、お姉さんは旦那さんから日常的に暴力を受けているらしいという話を聞いていたため、不安に思いながらも、帰国の前日、ついにその機会が訪れました。
大学から歩いて十数分、夕暮れ時にごった返す人混みをぬうように進みながら案内されたのは、急なはしごを上った先にある8畳ほどの小さな部屋でした。そこにお姉さん夫婦と小さな子ども2人、そして4匹の子猫と母猫(!)が暮らして(住みついて?)いました。もちろん、悪臭が漂い、虫がウヨウヨ群れているような劣悪な環境のスラムもある中で、今思えば、彼らの暮らしぶりは「良い方」であったかもしれません。しかし、私にとっては初めての、「知人が暮らす」スラムの訪問であり、そこでの生活はとても他人事として捉えることはできませんでした。これからインドで一番暑い季節を迎えようとしているなか、今でさえ蒸し暑いこの小さな部屋で、この人たちはどんな思いで日々生活しているのだろうか――。
帰り道、押し黙ってしまう私に彼女がこう言いました。
「お姉ちゃんはね、子育てがひと段落したら大学に行きたいって言ってるの。勉強することが、貧困から抜け出せる唯一の方法なのよ。」
苦労しながらも勉学を続けようとする彼女、そして過酷なスラムでの生活のなかでも必死に生き抜こうとするお姉さん、その姿は、今でも私の目に焼き付いて離れません。
(上記のフィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2724545240925144
写真の説明
写真1 駅周辺に広がるスラム
写真2 ムンバイ大学の正面入り口
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「イランにて、カフェのある日常を!」
本間 流星(グローバル地域研究専攻)
イランの首都テヘランには無数のカフェがあることを、みなさんはご存知でしょうか。また、数が多いだけではなく、それぞれのカフェに個性があるので、・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第163回 「メルマガ写真館」
(上記の写真館については次のFacebookでもご覧いただけます)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2724543544258647
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■ お知らせ Announcements
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□ 2020年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 第2回入学試験(東南アジア地域研究専攻、アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:2020年1月10日(金)~1月21日(火)17時必着
試験日程:2020年2月5日(水)、6日(木)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application
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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ 第95回 KUASS (Kyoto University African Studies Seminar)
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日時:2019年12月17日(火)15:00-17:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階セミナー室(318号室)
演者:Jeilu Oumer Hussien 博士(アジスアベバ大学・准教授)
演題:Indigenous Knowledge in Modern Education Policy Discourse in Ethiopia:
Lessons from Japan
共催:第3回 日本=エチオピア・ジョイントレクチャー
第95回 KUASS / 第3回 日本=エチオピア・ジョイントレクチャー
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□ 第247回 アフリカ地域研究会
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日時:2019年12月19日(木)15:00-17:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室
演者:砂野 唯(名古屋大学大学院生命農学研究科・特任助教)
演題:酒を食べる:エチオピア農耕民デラシャの暮らし
第247回 アフリカ地域研究会
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター、
アフリカ学際研究拠点推進ユニット共同主催
公開講座「アフリカから学ぶこと:いま私たちにできること」
(要事前申込・受講料 1講座1000円,5講座4000円)
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京都大学では2017年にアフリカ学際研究拠点推進ユニット(アフリカユニット)を立ち上げ、分野を超えてアフリカに関わる研究をつなぐ取り組みをおこなっています。今回のシリーズでは、アフリカユニットから、さまざまな分野でアフリカ研究を展開している5人の専門家に最新の話題を提供してもらいます。アフリカを学ぶ私たちにとって、いま何ができるのか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。
◆ 第3回 2019年12月21日(土)
「アフリカを癒す:健康とは何か」
新福 洋子(京都大学大学院医学研究科・准教授)
◆ 第4回 2020年1月18日(土)
「アフリカを食べる:グラスカッターの家畜化」
村山 美穂(京都大学野生動物研究センター・教授)
◆ 第5回 2020年2月15日(土)
「アフリカを歩く:山・砂漠の自然と人と」
水野 一晴(京都大学大学院文学研究科・教授)
いずれの回も、
時間:15:00~17:00(開場 14:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階大会議室
定員:80名
*申込・詳細
2019年度 アフリカ公開講座
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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師走も中盤になり、一年があっという間に終わろうとしています。
京都もいよいよ冬の装いで、木々は葉を落とし、寒々しい姿を見せる季節がやってきました。京都はコンパクトな町なので、自転車でどこへでも行けてしまうことが便利でもあるのですが、冬の季節は堪えます。自転車に乗ろうものなら、容赦なく吹き付ける冷たい風に耐え、耳と手先の感覚のなくなることを覚悟しなければなりません。とはいっても、冬晴れのときなどは空気もフレッシュで鴨川沿いを走るのはとても気持ちの良いものですし、霧がかった時には鴨川の先にぼんやりと見える山々の稜線も美しいものです。今年も一年が終わってしまう、とどこか焦る気持ちを抱えながら、自分のペースで自転車をこぎつつけ、新年を迎えることができるようあと少し走り続けたいと思います。(M.S.)
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