■■ June 2019 第192号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 1233】■■
__今月号の目次 Contents_______
□フィールド便り....ハラール市場の拡大と人気の舞台裏
□メルマガ写真館....イランで台頭する新しい金融サービス
□お知らせ...入試日程・オープンキャンパス
□講演会・セミナー情報....KIAS講演会など
□最近の出来事…... Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「ハラール市場の拡大と人気の舞台裏:ハラール認証の本場はどこか?」
桐原 翠(グローバル地域研究専攻)
現在、世界中で広く親しまれるようになってきたハラール食品(まず、「ハラール」とはイスラーム法用語の1つであり、「合法」などを意味する。そして、イスラーム法に照らして合法だとされた食品や製品のことをハラール食品という)。今回は、ハラール産業の世界拠点であるであるマレーシアと、アラブ首長国連邦・ドバイのハラール展示会を訪れました。
食べ物は一日に何度も体内に取り込まれるものであり、何を食べるか、なぜそれを食べるのかは人それぞれだと思います。例えば、健康維持のため、栄養のバランスを意識しているため、個人の嗜好や文化、儀式などでしょうか。いずれにしても、口にする食べ物が「安全」であることは大前提だと思います。その前提が、グローバル化の進展により、ヒトやモノの移動が容易となった現在、揺らぎ始めているのも事実です。いつ・どこで・だれがこの食品を製造・生産し、どのような経路でだれがどのように配達したのか。これは、消費者にはコントロールできない問題であり、どこかで製品の信頼性を確かめる必要があります。
ムスリムは、ブタ肉やアルコールを飲食できないといった一面的な解釈が見受けられるようですが、これは偏った見方に過ぎません。もちろん、ブタ肉やアルコール飲料は避けるのですが、これらを避ければよいというだけの話ではなく、イスラームの規定に則った製造・生産し、流通するというのが重要になってきます。ハラール市場が拡大する過程には、製造業者、流通業者が相互に関わり参入してきたからだと言えます。その証に、マレーシアで開催されているハラール展示会には食品業者だけでなく、流通業者の参加が見受けられます。製造過程や流通過程に非イスラームな要素との接触が無いと確認できた商品は、いわゆる「安全」とされ、ハラール認証を受けハラール食品として人々の食卓に届くというわけです。
これまでハラール認証に興味も示していなかった地域、例えばアラブ首長国連邦・ドバイなどがハラール市場に参入することとなった背景には、上述したグローバル化の進展はもちろんですが、各々の地域の文化やイスラームの規定の差異があります。ハラール展示会からは、各地域の特徴がよくわかります。例えば、エビやカニなどの甲殻類をどのように取り扱うのかといった製造上の問題や、アニメやキャラクターを用いた販売方法や新型のマシーンを用いた販売の工夫の仕方などです。このような工夫やこれまで、口にしたくてもハラールか否かわからず口にできなかった製品が食べたられることになるわけです。例えば、中華料理の小籠包は、ブタ肉が使用されることが多いわけですが、ハラール展示会にはNo Porkの小籠包が存在し、製造過程や流通過程が「安全」と確認されハラールの認証を受けています。
今日、ハラール認証を行うこと自体に疑問が投げかけられることも多くなりましたが、ムスリム1人1人がハラールの製品を選び取りその取捨選択の中で、ハラール産業が構築されてきた、つまり、ムスリム個々人の意志の反映が、現在のハラール産業の構築に繋がってきたのではないかと私は考えています。マレーシアでのフィールド調査の際にお世話になるご家庭に必ず、日本からお土産を持参します。日本の製品のほとんどにハラールロゴはついていないため、食べ物を用意する際には、成分や原材料など自身でも確認をしています。彼らが納得してくれるかについては、私の説明にかかっているなと思い緊張するわけですが。ある時、成分の説明をする間もなく、お菓子を受け取ってくれたことがありました。お菓子の原材料には、「アルコールなど含まれていなくて・・・」と説明をし始めると、彼らは笑顔で、「ミドリが持ってきてくれたものだから心配いらない」と言われました。関係が出来上がっていたからこそ、心配ないと言ってくれたこの言葉は私のハラール研究の原動力でもあります。そして、これこそが、「ハラール認証の本場」なのかなと考えさせられたフィールドワークでした。
(上記のフィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2388884527824552
写真の説明
マレーシアの企業BESTMASの小籠包(執筆者撮影2018年10月27日@ドバイ)
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「イランで台頭する新しい金融サービス」
川向 善基(グローバル地域研究専攻)
新しいお金の貸し借りの仕組みを用いたガルズ・アル=ハサネ基金と呼ばれる基金がイランで、台頭しています。このガルズ・アル=ハサネ基金は・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第157回 「メルマガ写真館」
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■ お知らせ Announcements
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□ 2020年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 第1回入学試験
出願期間:2019年8月19日(月)~8月28日(水)17時必着
試験日程:2019年9月11日(水)、12日(木)
学生募集要項
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□ 2019年度オープンキャンパスの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 大学院説明会@東京オフィス2019
日時:2019年6月29日(土)14:00-16:00(受付開始13:30)
場所:京都大学 東京オフィス(新丸ビル 10階)
大学院説明会@東京オフィス2019 [6/29]
◆ グローバル地域研究専攻 2019年度第2回オープンキャンパス
日時:2019年7月6日(土)13:30-18:00(受付開始13:00)
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内 総合研究2号館 4階AA447教室
グローバル専攻 オープンキャンパス2019 [7/6]
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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ 第15回 日独ジョイントレクチャー
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日時:2019年6月26日(水)18:15-20:00
場所:Hörsaal 06, Neue Universität, Universitätsplatz 1, ハイデルベルク, ドイツ
演者:重田眞義(京都大学アフリカ地域研究資料センター・センター長,教授)
演題:エチオピア高地文明の成立基盤:生態人類学的視点から
第15回 日独ジョイントレクチャー
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□ 第89回 KUASS
Kyoto University African Studies Seminar
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日時:2019年6月27日(木) 16:00-18:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階セミナー室(318号室)
演者:Aynalem Megersa Gemechu 博士(京都大学・客員准教授 / アジスアベバ大学ジェンダー研究センター・センター長)
演題:Do wage employment and self-employment have differential empowerment impact on rural women in Africa? Empirical evidence from Central Ethiopia
第89回 KUASS (Kyoto University African Studies Seminar)
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□ 京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)講演会
「知の先達たちに聞くー小松久男先生をお迎えして」
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「知の先達たちに聞く―小松久男先生をお迎えして―」
日時:7月5日(金)16:00~18:00
講演者:小松久男(東京大学名誉教授)
タイトル:「中央アジアからの眺望」
場所:京都大学吉田キャンパス総合研究2号館4階会議室AA447
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_y.htm
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/access_map08.pdf
*準備の都合上、ご参加なさる方は事前にKIAS事務局
(inq-kias[a]asafas.kyoto-u.ac.jp)までご連絡いただけると幸いです。
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□ シンポジウム「日本のアフリカ研究を総覧する」
Landscape of African Studies in Japan
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日時:2019年7月13日(土)13:00-18:00
場所:上智大学四谷キャンパス10号館講堂
基調講演:山極壽一(京都大学総長)
パネリスト:太田至(日本アフリカ学会長)、奥村正裕(日本・アフリカ大学連携ネットワーク議長校代表)、加藤隆一(国際協力機構アフリカ部長)、紀谷昌彦(外務省TICAD担当大使)、津山直子(アフリカ日本協議会代表理事)
モデレーター:武内進一(東京外国語大学現代アフリカ地域研究センター)
TICAD7パートナー事業・シンポジウム
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□ 第244回 アフリカ地域研究会
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日時:2019年7月18日(木)15:00-17:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室
演者:杉山 祐子(弘前大学人文社会科学部・教授)
演題:おカネがつなぐ・縁がつなぐ:現代アフリカ農村における現金獲得活動と新たな「共同」の楽しみ
第244回 アフリカ地域研究会
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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新年度がはじまってもうすぐ3ヶ月が経とうとしています。4月に入学した1回生もASAFASでの大学院生活に慣れてきて、研究テーマも授業やゼミでの議論を通して徐々に固まりつつある時期です。そうこうしているうちに、オープンキャンパスや入試など、「次」の新入生のための準備も始まっています。6月29日(土)には東京の丸の内で受験希望者を対象とした大学院説明会が開催されます。京都はちょっと遠いけどASAFASに興味を持っている方は、この機会を利用してぜひ雰囲気を味わいにお越し下さい!(SN)
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□ メールマガジンに対するご意見・ご感想お待ちしております。
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
ASAFAS次世代型アジア・アフリカ教育研究センター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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