■■ April 2019 第190号 ■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS E-zine Integrated Area Studies
INFOrmation Magazine (IAS-INFOM)
http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■【発行部数 1228】■■
__今月号の目次 Contents_______
□フィールド便り..........『家出』体験記
□メルマガ写真館...... 薬も注射もいや!!
□お知らせ...入試日程・オープンキャンパス
□講演会・セミナー情報..........公開講座
□最近の出来事.... Facebook・Twitter情報
□編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「『家出』体験記 」
下山 花(アフリカ地域研究専攻)
私はエチオピア南部ガモ高地において、2017年8月から翌年の3月までの約7か月間のフィールドワークをおこないました。私にとって、住み込みながら調査をおこなうことは初めての経験でしたが、幸運にもある世帯に快く受け入れてもらえました。しかし言語の問題もあって互いの気持ちをうまく伝えられず、加えて調査という常に気を張った状態に疲れてしまった私は、ホームステイを始めて3か月で、行き先をはっきりと告げずに、「家出」をしてしまいました。
「家出」の先は、ホームステイ先からバスで1時間移動したところにある地方都市アルバミンチでした。私が調査をしている村は、標高約2500 mのところにあります。一方アルバミンチは、標高約1300 mのところに位置する温暖な地域で、熱帯の栽培植物が生育しており、食生活、家屋の資材も調査村とは異なっています。村では、バショウ科のエンセーテやオオムギ、コムギ、ライコムギの栽培されている景観が中心ですが、アルバミンチに近づくとそれはトウモロコシやバナナ、マンゴー、アボカド畑へと変わっていきます。村でよく観察される家屋は、周辺に生息している竹を建材にして、その竹を裂いた材料を編んで壁や屋根にして作られています。一方アルバミンチ市周辺では、商店で購入した建材(例えば、屋根の材料としてトタンをつかう)を使って建築される割合が高くなります。日中の平均気温は高地よりも5度以上高いため、アルバミンチ市に到着すると、私はまず村で使っていた綿織物の厚手のストールを脱ぎ、半そでの衣類に着替えます。調査地域の人びとは、カシュカ(穀物の粉を水で練って団子状にし、蒸した料理)を好んで食べています(写真1)。アルバミンチ市内で生活する人びとの多くは、インジェラ(テフという穀物の粉を水で溶いて発酵させクレープ状にしたパン)を日常的に食べています(写真2)。
家出をしているあいだも、携帯をもっている友達を介して、何度もホストファミリーから私が元気で生活しているのかを心配する連絡がきました。一週間くらいたって、そろそろ帰らなければと思い、バスに乗ってホストファミリーのもとへ戻ると、両親そろって、私のことをまるで一番上の娘が家出してしまったかのように心配してくれていました。その日を境に、私も彼らの家族の一員としてできることをしようと思うようになりました。
このような経験を通じて段々と私は、調査村に暮らす人びと、景観、食べ物、言語に対する愛着が強くなっていきました。調査地域は、冷涼で過ごしやすいこともあり、ムギ畑で過ごす時間はすべてから解放されたような心地よさがあります。竹で作られた寝床も今では私の体にしっくり馴染んでいます。インジェラがどうしても食べたくなり、アルバミンチへ行くこともありますが、町でインジェラを食べると、ホストファミリーの家で作ってもらうカシュカが恋しくなります。アルバミンチのホテルに一人で寝ていると、夜まで家の子どもたちと過ごしていたいつもの空間に戻りたくなります(写真3)。村に帰るバスに乗りこんで、調査村に暮らす人びとが使っているドルゼ語が聞こえてくると、なぜか安心する自分がいます。ホストファミリーが許してくれるならば、彼らと一緒に暮らしながら、今後も研究を続けていきたいと考えています。
博士予備論文を提出して思うのは、フィールドワークを基盤にした研究は自らの生き方と密接にかかわっているということです。フィールドワークはそれぞれの人生の一部だからこそ、調査地域や調査の手法、調査期間中の過ごし方(衣食住)には、フィールドワーカーそれぞれに、素敵なフィールドワークライフの形があるという考えに至っています。
(上記のフィールド便りに関する写真は次の
Facebookでご覧ください)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/2285030504876622
写真の説明
写真1:ホストファミリーの両親。父はカシュカ(穀物の粉を水で練った団子を蒸した料理。調査地域では主食として好まれている)を食べており、私にも食べるように勧めている
写真2:調査地から一番近い地方都市アルバミンチのレストランで食べたインジェラとアルバミンチの湖で採れた白身魚(淡水魚)の蒸し焼き。
写真3:ホストファミリーの子どもたち
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「薬も注射もいや!!」
鈴木 功子(アフリカ地域研究専攻)
私は、2018年9月からエチオピア南部にある地方都市で、保健や健康に関する調査をしています。写真を撮影した日には、ヘルスワーカー(保健婦)が・・・
(続きと写真は次のURLをご覧ください)
第155回 「メルマガ写真館」
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■ お知らせ Announcements
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□ 2020年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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*募集要項等の詳細は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ 第1回入学試験
出願期間:2019年8月19日(月)
~8月28日(水)17時必着
試験日程:2019年9月11日(水)、12日(木)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application
◆ 学内選抜試験
第1次試験 出願期間:2019年5月22日(水)
~6月5日(水)17時(厳守、郵送の場合は必着)
第1次試験 試験日程:2019年6月12日(水)
~6月26日(水)までの間を予定(出願者に対して個別に面接の日時等について連絡します。)
第2次試験 出願期間:2019年8月19日(月)
~8月28日(水)17時(必着)※郵送のみ
第2次試験 試験日程:2019年9月12日(木)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/gakunai
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□ 2019年度オープンキャンパスの開催
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*詳細情報と申込方法は下記の研究科ウェブサイトで公開しています。
◆ アフリカ地域研究専攻
第2回オープンキャンパス2019
日時:2019年5月25日(土)14:00-16:30(受付開始13:30)
場所:京都大学稲盛財団記念館3階セミナー室(318)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20190525/
◆ グローバル地域研究専攻
オープンキャンパス2019
日時:2019年5月25日(土)13:30-18:00ごろ
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内 総合研究2号館4階AA447教室
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/global20190515/
◆ 東南アジア地域研究専攻
オープンキャンパス2019
日時:2019年6月22日(土)13:00-17:00(受付開始12:30)
場所:京都大学吉田キャンパス本部構内 総合研究2号館4階AA447教室
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/asia20190622/
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■ 講演会・セミナー情報
Lectures, Seminars
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□ 第87回 KUASS
Kyoto University African Studies Seminar
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日時:2019年5月7日(火) 14:00-15:40
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階セミナー室(318号室)
演者:Wim M.J. van Binsbergen 博士(エラスムス・ロッテルダム大学・名誉教授/ライデン・アフリカ研究所・上級研究員)
演題:Researching Power and Identity in African State Formation: Retrospect and Prospect
共催:第9回 景観形成の自然誌コロキアム
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/kuass/kuass087/
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□ 第242回 アフリカ地域研究会
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日時:2019年5月16日(木)15:00-17:00
場所:京都大学 稲盛財団記念館3階 中会議室
演者:中村美知夫(京都大学理学研究科・准教授)
演題:『サル学』とアフリカ研究の黎明期
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/as/as242/
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□ 写真展「アフリカの未来世代」
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日時:2019年4月8日(月)~5月17日(金)9:00-17:00(※土日祝は閉館)
場所:京都大学 稲盛財団記念館1階ロビー
主催:NPO法人アフリック・アフリカ、京都大学アフリカ地域研究資料センターアフリカの未来を担い、アフリカの「今」を生きる若者たちがファッション、恋愛、結婚、勉強、仕事などに打ち込む等身大の姿を映し出した写真を展示しています。
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/other/africamirai2019/
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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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○ 京都大学アフリカ地域研究資料センター
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http://twilog.org/Africa_Kyoto_U
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■ 編集子より From the Editor
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大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)も共催して、「アフリカで身を起こす」という公開シンポジウムが4月20日に開催されました。アフリカで起業してから現在に至るまでビジネスに取り組んでいる京大出身の方をお招きし、新入生向けにご自身の経験を語っていただくという趣旨でした。おそらくこのテーマは、10年前には成立していなかったと思います。日本の若者にとってアフリカは、自らのアイディアをもとにして生活基盤を確立できる場になっています。こういった新たなアフリカの一面を、新入生を迎える4月に開催できたことを大変嬉しく思いました。ASAFASは、およそ30人の新入生とともに新年度を迎えました。今年度も、フィールドエッセイを中心にASAFASの教育研究活動やアジアやアフリカ諸国の新たな状況を、メールマガジンを介して発信していきます。引き続き一年間よろしくお願いいたします。(MK)
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□ メールマガジンに対するご意見・ご感想
お待ちしております。
http://form.mag2.com/gianoubima
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◆ このメールマガジンは、京都大学大学院
アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会、ASAFASキャリア・ディベロップメント室、ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。
◆ ご意見・ご感想を以下フォームよりお気軽にお寄せください。掲載希望の記事や研究会の案内なども受け付けています。
宛先:http://form.mag2.com/gianoubima
◆ バックナンバーは、こちらのページから
読むことができます。
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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研
究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFASキャリア・ディベロップメント室
ASAFAS次世代型アジア・アフリカ教育研究セ
ンター 臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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