<< 東南アジア地域研究専攻 2000年度目次へ戻る

2000年度目次(東南アジア地域研究専攻)

  第二十二回 「水産資源の養殖と放流」
 
 

Contents

1 養殖の重要性

2 養殖−環境に与えるダメージ

3 放流−水域生態系への影響

4 生物汚染

5 モノカルチャーの功罪

6 文化多様性の活用

  

1 養殖の重要性

 スーパーの鮮魚売場に行ってみましょう。さまざまな商品が並んでいます。例えばマダイの刺身。品名の後ろに「天然」、「養殖」の表示ももうお馴染みのものとなりました。日本に限らず、現在世界の各国で養殖は水産業に極めて重要な役割を果たすようになりました。例えば、日本は1988年、漁業生産量において、長年のトップの座を中国に明け渡しました。その原因の一つとして、この時期、この国の養殖生産量(海面・内水面双方)が急激に増加したことがあげられます。1990年の中国の漁業生産量の内訳を見てみましょう。この年の漁業生産量は1200万トンですが、養殖生産量(海面・内水面の合計)は610万トンで、実に漁業生産量の50%以上を占めています。同年の漁業生産量に対する養殖生産業の割合はタイで13%、インドネシアで17%、フィリピンで31%等東南アジア諸国でも事情は同様です。

写真1の説明・・・南スラヴェシ、レンパンガン近郊でサバヒーの種苗を売る人達。サバヒーはこの土地の重要養殖魚。後方の養殖池にはサバヒーとブラックタイガーが混養されている。

東南アジア地域研究専攻
生態環境論講座

岩田明久
E-mal:iwata@asafas.kyoto-u.ac.jp