研究科の特色
features
学生は、主体的にフィールドワークに取り組み、地域の現場での生活を通して問題を発見し、生態・社会・文化が複合する地域の実態の調査研究を進めていきます。フィールドワークに際しては、これまでの京都大学における地域研究の蓄積をもとに、協力関係にある現地の大学などと連携しながら研究指導に当たっています。本研究科における教育カリキュラムは、フィールドワークを基礎とした調査・研究に指針を与えるとともに、調査の結果を独創的な研究にまとめあげていくプロセスを支援・指導していくことを主眼として構成されています。
本研究科の標準的修業年限は5年です。この年限内に必要な研究指導を受けたうえ「研究指導科目(課題研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)」を履修して所定の単位(40 単位以上)を修得し、博士論文を提出して、その審査および試験に合格した者には、「京都大学博士(地域研究)」の学位を授与します。原則として3年次までに博士予備論文を提出し、その審査に合格した者のみが博士論文の提出資格を得ます。
なお、研究業績の顕著なものについては、年限の短縮も考慮されます。
また、学生が修士学位取得退学を希望することもできます。その場合は、30 単位以上の修得と博士予備論文の審査および試験に合格することを条件として、「京都大学修士(地域研究)」の学位授与します。
本研究科の具体的な研究指導方法の特色は、以下の通りである。
地域研究の基礎的な問題とアプローチの方法の習得
学生は多様な学部の出身者、留学生、社会人経験者から構成されるので、研究科教員がオムニバス形式で担当する「地域研究論」と「アジア・アフリカ地域研究演習」(共に必修科目)を設け、アジア・アフリカ地域研究に関する基礎的な問題とそれらに対するアプローチの方法を学んで、それまでの学部教育で身につけた個別ディシプリンから地域研究への組み替えを図ります。
アジア・アフリカ地域に関する広範な専門的知識の習得
講義は、専攻科目と研究科共通科目から構成されており、研究科及び研究科授業担当の教員がおこない、原則として半期の受講で単位が取得できます。学生は、1・2年次に各指導分野の講義と特殊講義、及び専攻内の関連科目を中心に履修します。3年次以降には、研究科共通科目や他専攻の科目も受講して、地域間比較を視野に入れた広範な専門的知識を習得します。
指導教員群制の採用
総合的な地域研究教育の推進を特徴とする本研究科では、学生が自らの研究テーマに応じて3名の教員を指導教員として申告し、そのうちの1名が主指導教員となって学生の研究指導に責任を持ちます。
フィールドワークを重視したカリキュラム
指導教員群との相互討論によって自らの問題意識を明確にし、主体的にフィールドワークをおこないます。その成果をまとめて研究指導の認定を受けます。このような課題研究を積み上げつつ、3年次までに博士予備論文をまとめ、最終的に博士論文を作成します。
研究演習における徹底的な討議
学生は、研究指導分野の全教員が担当する研究演習に参加し、自らの調査・研究結果を練り上げ、独創的な博士論文に仕上げていきます。この演習では、特に学生の創造的発想を促し、自立した研究を進めていけるよう、徹底的な相互討議にもとづく指導をおこないます。
公開演習による開かれた教育の試み
他分野、他部局の研究者、一般市民が参加する公開演習で学生が研究成果を発表し、広く社会に開かれた地域研究の重要性を体得します。