■■■ March 2025 第261号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 1,118】■■■■■■■■■
___________今月号の目次 Contents__________
□ フィールド便り............. 服の汚れ、社会の汚れ
□ メルマガ写真館............. ムンバイの高級レストランの舞台裏
□ 学会情報
□ 最近の出来事............... Facebook・X(旧Twitter)情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「服の汚れ、社会の汚れ」
川口 千尋(グローバル地域研究専攻)
「お前たちがこんなことをやるから、社会が壊れていくんだよ!」私が調査をしている村の女性たちが集まってナスタ(おやつ)を作っていた時に、同じ村に住む中年男性の威圧的な声が響き渡りました。この日、3月21日の国際人種差別撤廃デーに合わせて、地元のダリトの団体が主催したあるイベントが開かれていました。それは、ダリトも含めた村の女性たち全員でナスタを作り皆で食べるというものです。一見普通のイベントのようにも思えますが、長い間不可触の存在として差別されてきたダリトが触れた水や食べ物を皆で口にするという内容には、
差別撤廃の象徴的な意味が含まれています。
この村はネパール中西部のカピルヴァストゥに位置し、わずか500メートル先にはインド国境があります。カピルヴァストゥはブッダが青年期を過ごした城址があることでも有名で、この地域のダリトの中にはヒンドゥーから仏教に改宗した人もいます。カピルヴァストゥがあるネパール平野部(タライ)のカースト体系は、首都カトマンドゥなどがある丘陵地帯とは異なり、インドのウッタルプラデシュと親和性があります。この地域に住む人たちの多くはマデシと呼ばれ、ネパール語ではなくアワディーをはじめとした北インド諸語を母語としています。
その背景として、19世紀後半に当時のネパール王家の宰相が、森林開発を目的として彼らの北インドからタライへの移住を奨励したことが挙げられます。しかし、今では「マデシはインド国家に忠誠がある」などとカトマンドゥのナショナリストたちからの差別を受け、ネパールの市民権証を取得できず、長い間無国籍状態に置かれてきた人もいます。
そのマデシ社会の中でも特に厳しい差別を受けてきたのが、マデシのダリトの人々です。マデシ・ダリトの置かれた状況を改善しようと、当事者たちが2004年にダリト社会開発センターを立ち上げました。冒頭で示したイベントはこの団体によって企画されたものです。村の男性による妨害もあり、参加者の女性たちは「やっぱりダリトが調理した食べ物を口にするのはよくないかも…」と口々に不安を吐露しました。しかし、結局イベントの最後にはナスタの美味しそうな香りにつられて、全員がキール(甘い粥)やプーリー(揚げチャパティ)を頬張っていました。
このイベントを企画した洗濯人カースト出身のダリトのゴビンダさんは、「私の両親はかつて村人の服の汚れを洗い流していた。大変な仕事で今の自分にはとてもできそうにない。でも、私は今代わりに社会の汚れを洗い流す仕事をしている」と照れ笑いしながら語ってくれました。
写真1:ダリト差別について村の女性と考えるイベントの様子
写真2:皆でナスタを食べる村の女性たち
写真3:キール(甘い粥)、プーリー(揚げチャパティ)、サブジー(野菜のおかず)など美味しいナスタ
(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0NokZ6Em2bfUyFJwVGbfZFVGTKwU3bxFHtRs7PNY7jRBZCkz4Lj92ZaahxfCwQWW2l
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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「ムンバイの高級レストランの舞台裏」
清水 侑季(グローバル地域研究専攻)
インド料理といえば「カレー」をイメージする方が多いかもしれません。しかし、実際にはそれだけではありません。
私はインドの「モダンインド」料理研究の一環として、ムンバイのファインダイニング(高級レストラン)で2ヶ月間、見習いシェフとしてインターンをしてきました。そこでは伝統的なインド料理が洗練された形に昇華され、芸術的なプレゼンテーションで提供されていました。
かつては宗教や不浄観から、インドでは外食文化は制限されてきました。しかし、近年では都市部を中心に盛り上がっており、インド料理の未来も広がっています。インド料理は、いや、世界の「食」は常に変化し続けている。そう確信を持てた体験でした。
写真1「マハーラーシュトラやグジャラートのスナックを元にした前菜の例」
写真2「従業員の皆でクルタを着てディワリをお祝いしました」
(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/pfbid0BBbd3AnFmryfCmmBNQfnLfd6f3VvuxrowAA1y3McXtDMYLRiUThWjuinAyPYDtN5l
(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/
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■ お知らせ Announce
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□ 学会情報
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"Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Reception"
京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センターでは、4月4日(金)にトロント大学講師Amir Artaban Sedaghat先生をお招きし、Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Receptionと題した講演を開催いたします。
年度初めのお忙しい時期とは思いますが、ぜひご参加ください。
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”Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Reception”
【日時】2025年4月4日(金)15:00-18:00
【会場】京都大学本部構内総合研究2号館4階AA447(会議室)
【講演者】Amir Artaban Sedaghat (University of Toronto)
【講演タイトル】Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Reception
【タイムーブル】
講演 15:00-17:00 (100min, 20min Q&A )
セダーガート氏によるルーミー詩の朗読デモンストレーション 17:20-18:00
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※なお、セダーガート先生は3月29日に明治大学でもご講演なさいます。併せて奮ってご参加ください。
We will be holding a lecture entitled " Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Reception" at Kenan Rifai Center for Sufi Studies at Kyoto University on April 4th (Fri.),
inviting Dr. Amir Artaban Sedaghat (University of Toronto).
You are cordially invited to attend this lecture.
【Date】April 4th, 2025 15:00-18:00
【Venue】Kyoto University Headquarters Building No.2 (4th floor) AA447
Dr. Amir Artaban Sedaghat (University of Toronto)
Rumi beyond Linguistic Borders: The Cultural Stakes of a Reception 15:00-17:00 (100min, 20min Q&A )
Demonstration of recitation of Rumi's poetry by Dr. Sedaghat 17:20-18:00
※Dr. Sedaghat will also give a lecture at Meiji University on March 29. We hope you will join us.
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■ 編集子より From the Editor
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春は、新旧が入れ替わる季節です。新しい仲間との出会いに胸を躍らせるのもよいですが、共に貴重な時間を過ごした人たちへの感謝の気持ちも忘れたくないものです。去っていく人々に思いを馳せると、時の尊さが身に沁みます。この季節は、日々の忙しさに追われていると見落としてしまう「共にあることのありがたさ」を思い出させてくれます。(H・I)
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協力:
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