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第212回 「メルマガ写真館」

第212回 「メルマガ写真館」
「バケツと水と大腸菌」
髙橋侃凱(アフリカ地域研究専専攻)

  ザンビア共和国の首都ルサカは舗装された大通りが走り、大規模なショッピングモールが複数あるほど発展しています。海外のファーストフードチェーンも進出していて、日本人に馴染みのある店で言うとKFCがあります。
 その一方で、中心部からたかだか10km程度の地域には、都市計画によって整備されていない住居が立ち並ぶ「未計画居住区」が広がっています。所狭しと家がひしめきあっていて、道路は舗装されていません。衛生環境も悪く、コレラなどの感染症が毎年のように発生しています。水道施設が十分に整備されていないこうした地区では大半の住民が家に蛇口を持たないため、屋外にある共用の給水栓から飲料用水を含む生活用水を手に入れています。毎日のように給水栓にバケツを持った人が並んで、水でいっぱいになったバケツを家まで運ぶ姿が見られます。
  彼らがバケツに貯めている水からは大腸菌が多数検出されました。大腸菌は、水が糞便で汚染されているかどうかの指標となります。日本ではトイレの床からすら大腸菌が検出されなかったので、調査地の水サンプルの結果に驚きを隠せませんでした。目には見えない「菌」を可視化することで、人々が日々使っている水が必ずしも安全でないことを痛感した調査となりました。

写真1:調査地でのサンプリングの様子およびサンプルから培養した大腸菌(左下)。青く見えているのが大腸菌のコロニーです。

写真2:ルサカの中心部。大通りには多数の日本車が走っていました。

写真3:調査地における共用の給水栓。たくさんの人がバケツを用意して給水栓の周りに集まっていました。


(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/867326068524225

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/

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