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アジア・アフリカ地域研究情報マガジン 第220号

■■■ October 2021 第220号 ■■■■■■■■■■■■
アジア・アフリカ地域研究情報マガジン
ASAFAS INFOrmation Magazine
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/
■■■■■■■■■■■■【発行部数 966】■■■■■■

__今月号の目次 Contents_______________

□ フィールド便り.................. 屠畜者の名前
□ メルマガ写真館.................. 心つなぐ完熟パイナップル
□ お知らせ............................ オープンキャンパス、入試日程
□ 講演会・セミナー情報....... アフリカ公開講座、地域研究会
□ 最近の出来事..................... Facebook・Twitter情報
□ 編集子より
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■ フィールド便り Letter from the Field
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「屠畜者の名前」
宮城 敬 (アフリカ地域研究専攻)     

「ほら、お前がよく知る〇〇が屠畜した肉だ!」
 ホームステイ先の家庭で夕食のために買ってきた牛肉を見せながら、友人は私にむかってそう言い放ちます。日本で暮らしているとまず聞くことのないフレーズですが、私が滞在していた地域では、ウシが誰によって屠畜されたかという情報がふつうの人びとのあいだで共有されています。
 私は、ギニア共和国のラベという地方都市で牛肉がどのように流通しているのかを調査していました。調査をするなかで、ラベでは屠畜の仕事が社会的地位の高い人によって担われる、名誉職のような位置づけであることを知りました。15万人の人口を抱える都市に対して、供給される牛肉を屠畜するのはわずかな人たちであるため、ふつうの人は屠畜した人の顔と名前を当然のように知っています。
 日本では、食卓に運ばれてくる食肉に対して生産者がどういった人であるかを知ることはあっても、屠畜した人についてはあまり考えをめぐらすことはありません。特に機械によって大量生産される都市むけの食肉は、屠畜者が明確でない場合がほとんどです。どのような肉であるかということに関心が寄せられても、誰が屠畜したか、ということにさほど関心は寄せられないでしょう。
 一方、ラベでは屠畜した人が重要になります。屠畜者が重要になる背景には、その土地における人々のウシへの特別な感情や宗教といったものが大きく関係しています。彼らの社会には、社会的に価値の高いウシを屠畜するという重要なプロセスは、信頼できる人に任せるべきだという価値観があるのです。
 このように食材への見方をひとつ切りとってみても、その社会が重要視する価値観に出くわすことがあります。何気ない日常的な言動から社会に織りこまれた考え方や価値観に触れ、自分が属する社会の価値観を相対化する、絵に描いたようなフィールドワーク体験でした。

写真1:ギニアではポピュラーな牛肉を使ったシチュー。家庭だけでなく、レストランでも提供される。
写真2:市場では解体された牛肉が平積みされており、1kg単位で量り売りされる。
写真3:家畜市場で取引されるウシ。ギニアで取引されるウシは250kgから300kg程度のンダマ種(N'dama cattle)である。

(上記フィールド便りに関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/4571554639557519


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■ メルマガ写真館 Photo Gallery
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「心つなぐ完熟パイナップル」
小寺 典子(アフリカ地域研究専攻)

2年前にベナンを初めて訪れた際、あまりの美味しさに驚いたパイナップル。「少し離れた市場には、いつ行っても美味しいパイナップルを売っている女性がいるのよ。」そう言って滞在先のお母さんが出してくれたパイナップルは、とびきり甘くジューシーで、連日の暑さで疲れた体には格別でした。
 この美味しさに幸せを感じていたのは、私だけではありません。お父さんが夕食の際に、真っ先にパイナップルを食べたり、2切れほどを浸したパイナップル水をじっくり味わっていた姿は、好きなものを前にした子どものようで、とても親しみを感じました。言葉のつたない私は、日々忙しいお父さんに話しかけるのをためらい、打ちとけられずにいたのですが、愛らしい一面に触れ心がほどけていきました。お母さんの手料理で満腹の私が部屋に戻ろうとすると、「好きな分だけとっていきなさい」と呼びとめる声。完熟パイナップルが紡いでくれた優しい時間でした。

写真1:滞在先のお母さんがパイナップルの皮をむく様子。
写真2:お母さんがタッパーいっぱいに詰めてくれたパイナップル。食卓に並ぶこともあれば、一日を終えて帰宅した私の部屋に届けてくれることもありました。

(上記メルマガ写真館に関する写真は次のFacebookでご覧ください。)
https://www.facebook.com/asian.african.area.studies/posts/4571561926223457

(過去のメルマガ写真館は、次のURLからご覧いただけます。)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/photoessay/


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■ お知らせ Announcements
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□ 専攻別 2021年度 オープンキャンパスの開催
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◆ アフリカ地域研究専攻 第3回オープンキャンパス2021
日時:2021年11月13日(土)14:00-16:30
参加申込URL:https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/oc/africa20211113/

*オンライン会議システムZoomでの開催となります。    
*詳細情報と申込方法は上記の研究科ウェブサイトで公開しています。

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□ 2022年度 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 入試日程
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◆ 第2回入学試験
(*東南アジア地域研究専攻・アフリカ地域研究専攻のみ)
出願期間:令和4年1月7日(金)~1月18日(火)17時必着
試験日程:令和4年2月8日(火)、9日(水)

◆ 博士課程[5年一貫制]第3年次編入学試験
出願期間:令和3年12月15日(水)~12月22日(水)17時必着
試験日程:令和4年1月12日(水)
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/transfer/

*募集要項等の詳細は下記研究科ウェブサイトで公開しています。
https://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/admissions/application/

*なお、本研究科東南アジア地域研究専攻の博士課程[5年一貫制]入学試験について、令和5年度入学試験(令和4年度実施)からは、9月の第1回試験のみとし、2月の第2回試験は実施しない予定です。


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■ 講演会・セミナー情報 Lectures, Seminars
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□ 京都大学アフリカ地域研究資料センター主催
   2021年度 アフリカ公開講座
  「工学研究者、アフリカへ行く!“MNGDプロジェクト”の挑戦」
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 アフリカでは、古来より人やもの、情報のやりとりを様々に発達させてきました。そのなかでも、物理的な往来を容易くする「道」の存在は欠かせません。航空機や高速道路による長距離移動やSNSなどの情報通信が多用されるアフリカで、ともすれば村と村をつなぐふつうの「道」の重要性は看過されてきました。今回のアフリカセンター公開講座では、この「道」に注目して2019年からエチオピアで共同研究をはじめた工学研究者たちの挑戦をとりあげます。
 SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)「特殊土地盤上道路災害低減に向けた植物由来の土質改良材の開発と運用モデル」、通称MNGDプロジェクトの活動について紹介しながら、みなさんと一緒にアフリカの道について考えてみたいと思います。


◆第1回 2021年10月16日(土)15:00-17:00(開場14:30)
  講師:木村 亮 「アフリカに大学を造る」(*終了しました)

◆第2回 2021年11月27日(土)15:00-1700(開場14:30)
  講師:安原英明 「アフリカで地盤環境工学を考える」

◆第3回 2021年12月18日(土)15:00-17:00(開場14:30)
 講師:福林良典 「アフリカで住民と道普請する」

◆第4回 2022年 1月22日(土)15:00-17:00(開場14:30)
 講師:亀井一郎 「アフリカの土壌を改質する」

◆第5回 2022年 2月19日(土)15:00-17:00(開場14:30)
 講師:澤村康生 「在来植物でアフリカの道を直す 」

*この公開講座は、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科の「令和3年度 アジア・アフリカ地域研究履修証明プログラム」の一部として提供しています。

* 各日ともに、オンライン(Zoom)、および、京都大学稲盛財団記念館3階大会議室での、ハイブリッド形式でおこないます。

*お申し込み
「お名前(ふりがな)、ご住所、メールアドレスなどの連絡先、受講希望講座」を記して、下記のいずれかへお送り下さい。会場での受講を希望される場合は、その旨お書き添えください。無記入の場合は、オンライン受講希望として扱わせていただきます。

1) E-mail:manabiafrica[at]gmail.com
          ([at]は@に変更してください)

2) 郵便:〒606-8501 京都市左京区吉田下阿達町46
         京都大学アフリカ地域研究資料センター 公開講座係              

3) FAX: 075-753-7831

各回、開講日の前週金曜までにお申し込みください。お申し込み後、5日以内に受講受付と受講料振込のご案内を返信いたします。入金確認後、当日までに会場での受講案内、あるいは参加URLをお送りします。講座の映像は、開講日以降もオンラインで見ていただけるよう、アーカイブを公開します(期間限定)。

*詳細
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/9731

*共催
京都大学アフリカ地域研究資料センター、SATREPS「特殊土地盤上道路災害低減に向けた植物由来の土質改良材の開発と運用モデル」プロジェクト共同主催

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□ 第255回 アフリカ地域研究会
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日時:2021年12月16日(木)15:00-17:00
演者:原田 英典(京都大学アフリカ地域研究資料センター・准教授)
演題:水・衛生とサブサハラ・アフリカ
主催:京都大学アフリカ地域研究資料センター、日本アフリカ学会関西支部
https://www.africa.kyoto-u.ac.jp/archives/info/as255

*お申し込み
本研究会は、オンライン会議Zoomによる開催を予定しています。
以下の専用フォームに必要事項を記入のうえ、お申し込みください。
https://forms.gle/esga1ZWE35HutpxT9
締め切りは、開催日前日の2021年12月15日(水)12時です。申込者にZoomの招待URLをお伝えします。


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■ 最近の出来事 Recent Topics
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□ Facebook・Twitter情報
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■ 編集子より From the Editor
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 同じとき、同じフィールドに入っても、ひとによって見るもの、聞くものは、多少なりとも異なってくる。同じ民族誌を読んでも、どこに目が引かれるのかは、やはり、ひとによって異なっている。学生から、フィールドのこと、文献のことを聞いていると、そうした各人に内在している、荒削りの独自性が垣間見える。本号によせられたふたりの文章にも、おのずと独自性がたちあがっている。
 いまだ言葉にされていないことにふれようとする学生と、日々のなかで議論を交わし、彼ら彼女らが書くものを読むことは、この春からここに来た私にとって、多とするところです。本号の作風の異なる草稿を読みつつ、その幸運をあらためて感じさせられました。それぞれの場で、つかんだ言葉がひらかれていくことを願っています。(S.N.)

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◆ このメールマガジンは、京都大学大学院アジア・アフリカ地域
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メント室、ASAFAS臨地教育・国際連携支援室より発行しています。

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編集/発行:
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)広報委員会
ASAFAS キャリア・ディベロップメント室
ASAFAS 次世代型アジア・アフリカ教育研究センター 
    臨地教育・国際連携支援室
協力:
京都大学 アフリカ地域研究資料センター
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